あのちっく小屋

夏祭りと伝統的な紐のこと

2022.08.28
あのちっく

毎年毎年8月の下旬に入ると、国道沿いの歩道に連なる電柱や街頭に謎の紐がずーーーーっと張られる。これがすごく邪魔なんだ。 中途半端な位置に垂れていて、歩道をクロスするように張られるので、通行人にとっても邪魔だし、自転車に乗る人にとっては最高に危険な罠になってる。ちょうど首の位置にあったりして、この時期になったら注意して走行しないといけない。本当に危ないのでやめてほしい。

この謎の紐の正体は注連縄で、神輿の通り道であることを意味している。 注連縄というと紙垂と呼ばれる、いかにも神道っぽいありがたみを感じる紙が飾り付けられていたりするが、そういうのは一切なく、ただ紐が張られている。 紙垂はつけるの面倒くさそうだし、雨風で飛んでいっちゃうからね。昨日も停電がおこるほどの大嵐だったので、そもそもつけていないのかもしれない。

このあたりは日光東照宮に続く2つの街道のちょうど分岐に位置する地域として、昔はそこそこ栄えており、かなり大きな規模のお祭りが行われていたようで、各町ごとに木彫りの立派な神輿車を所有しているのは私も知っている。 子供の頃は私も町民の一人として神輿車を引っ張った記憶がある。

毎年8月最後の土日には、国道沿いに屋台店が並び、各町の神輿車がぶつかり合うイベントがあったはずなのだけれど、今年はそれが行われていなかった。

今年は何らかの理由で中止になったらしい。コロナ関係の事情もあるし、人口減少も進んでいるので、そのあたりかもしれない。

そういう理由で、国道沿いの歩道には、祭りも神輿も人も紙垂もない、ただただ危険な紐だけが張られているという結果だけがあったというわけ。

伝統が衰退し、失われていき、その断片だけが残り、「意味わからんし邪魔だなあ...」と思われる現象、めちゃくちゃエモいな